「四駆なら冬もスタッドレスタイヤはいらない」は本当か?真相を詳細解説

 

ほとんど雪が降らず、めったに路面が凍結しない地域では、スタッドレスタイヤを用意すべきかどうかは悩ましい問題ではないでしょうか。

とりわけ四駆(4WD)ユーザーは「四駆なら冬もノーマルタイヤで大丈夫」と、考えたくなるかもしれません。

悪路に強いイメージがある四駆は、果たして冬の雪道や凍結路でも性能を発揮できるのか。今回は「四駆はスタッドレスタイヤが必要か」に迫ります。

解説を担当するのは、雪国で四駆(スバルのSUV)に乗るライターです。実体験も満載の記事、ぜひ最後までお付き合いください。

▼この記事を最後まで読むとわかること
・四駆とはどのような車か、FF方式の二駆(2WD)との違い
・四駆はスタッドレスタイヤへの交換が必要か
・スタッドレスタイヤ交換以外の冬支度
・タイヤ流通センターならお得にスタッドレスタイヤ交換ができること

「四駆(4WD)は雪道に強い」といわれる理由

四駆は四輪駆動の略で、4つのタイヤすべてが駆動し走行する車です。

はじめに「四駆は雪に強い」といわれる理由を、あらためて考えてみましょう。四駆の特性が分かると、スタッドレスタイヤが本当にいらないか、より理解しやすくなります。

もっとも多い車は「FF方式の二駆(2WD)」

現在、車の駆動方式はFF方式の二輪駆動(2WD)が主流です。

FF方式はフロントエンジン・フロントドライブといい、前方の2つのタイヤを駆動させます。
エンジン重量が駆動輪に荷重されるため、発進時にタイヤの駆動力が発揮され、空転が少なく安定した発進が可能です。

ハンドル操作が伝わるタイヤと駆動するタイヤが一致しており、カーブや山道でも操舵しやすいというメリットがあります。

一方で、下り道は要注意です。

前輪に車体の荷重がすべてかかるため、コントロール不能に陥るおそれもゼロではありません。

雪道や悪路に強い「四駆(4WD)」

四駆は、4本のタイヤそれぞれが駆動します。

二駆では、エンジンの出力を伝えられるのが2本のタイヤだけです。一方、四駆はエンジンの出力を4本のタイヤに分けて伝えます。
この駆動方式の違いが威力を発揮するのが、グリップ面が少ない未舗装路です。

エンジンの出力が100だと仮定して、考えてみましょう。

二駆の車は、タイヤ1本あたりに50の出力が伝わります。未舗装路でタイヤ接地面が50の力をフルに受け止められなければ、タイヤが空転してしまいます。

四駆はどうでしょうか。タイヤ1本あたりに伝わる出力は、25です。路面状態が悪くても、25ずつ4本で車体をコントロールできるため、安定性が増します。

これが「四駆は悪路に強い」といわれる理由です。

四駆が雪道に強いのは「前輪が路面を引っぱる」「後輪が車体を押す」力の両方が発揮されるためです。雪道でもスリップしにくく、安定した走行を可能にします。

四駆(4WD)なら冬もスタッドレスタイヤなしで走れるか?

「雪道に強い四駆なら、冬のスタッドレスはやはり不要なのでは?」と考えたくなるかもしれません。

しかし、答えは「NO」です。
四駆でも、積雪や凍結した道路をノーマルタイヤで走るのは危険です。

雪国でSUVに乗る筆者も、11月末には毎年かならずスタッドレスタイヤに履き替えます。冬の路面は目視では判別できないレベルで凍結していることが多く、ノーマルタイヤでの走行は常にスリップの危険と隣り合わせだからです。

四駆は雪・凍結路の発進に有利

四駆が冬の道路で性能を発揮すると実感するのは、発進のタイミングです。

4本のタイヤそれぞれが駆動する四駆は、雪や凍結があってもタイヤが空回りせずに発進できます。

早朝の交差点で、隣に止まったFF車がタイヤを空回りさせているのを横目に、スーッとスムーズに発進できた経験は、数え切れません。

四駆でも雪・凍結路の減速や停止は危険

発進に力を発揮する四駆も、減速や停止時は危険を感じる場面がよくあります。

一般的に減速・停止で使われるフットブレーキは、駆動システムとは独立しています。四駆でも二駆でも、滑りやすさは同じです。

四駆を過信して雪・凍結した道路で減速すると、スリップして衝突してしまいかねません。

筆者も冬場は、とにかくゆっくりと減速・停止するよう心掛けています。それでも本格的に路面が凍った日は「あっ!」と思う場面がゼロではありません。

積雪・凍結の状態によって路面の危険度は異なる

四駆でも安全とは言い切れないのが、冬の道路の怖さです。

実は冬の路面は、積雪や凍結の状態によって危険度が変わります。

冬によくある路面状態と危険度を、具体的に解説します。

危険レベル★:走るとすぐ溶け、路面が見える程度の雪

走行するとすぐに雪が溶け、路面が露出する程度の雪は、もっとも危険度が低いでしょう。
シーズン初期の降雪や積雪量が少ない日が該当します。

かなり気をつけて走れば、四駆のノーマルタイヤで近距離の移動が可能かもしれません。

筆者の地域では、4月に入ってから季節外れの雪が降る年があります。大多数の人はすでにスタッドレスタイヤからノーマルタイヤに交換を終えている時期です。

春先の雪は温度が高く溶けやすいため、ノーマルタイヤで走行してもさほどの危険は感じません。

ただし、降雪量が多くわだちが深ければ、最低地上高のあるSUVがおすすめです。

危険レベル★★:人や車の往来でツルツルになった雪

降った雪が人や車の往来で踏み固められ、表面がツルツルになった状態は危険度が高まります。

雪道に慣れた人でも、気を抜くと滑ってしまう路面です。

日中の日差しがない日は、往来があればあるほどツルツルになり、夜間に向けてよりスリップしやすくなります。

この路面のときは、四駆でもスタッドレスタイヤを履いていなければ走れません。

雪があまり降らない地域でも、歩行に危険を感じる程度の雪が降るならばスタッドレスタイヤの準備を検討しても良いでしょう。

スタッドレスタイヤを履いていない車は、こうした路面の日には乗らないのがベストです。

危険レベル★★★:アイスバーン/冷え込みが強かった翌朝

アイスバーンになった路面は、四駆でもスタッドレスタイヤが必須です。危険度は最高の★3つでしょう。

スタッドレスタイヤを履いていても、急発進・急加速を避けて慎重な運転を心掛けなければなりません。

また見るからに凍結しているアイスバーン以外に、ブラックアイスバーンと呼ばれる路面にも注意が必要です。

ブラックアイスバーンとは濡れているだけの路面にみえて、実は凍結している状態です。雪が溶けたあと、また降雨のあとに強く冷え込んだときに起こります。

雪道の四駆(4WD)は制動距離が長くなる

冬の道路を四駆で走行する際に、もう1つ気をつけたいことがあります。「雪道の四駆は、二駆よりも制動距離が長くなる」という事実です。

ブレーキをかけ始めてから停まるまでの距離が想定より長いと、先方の車や障害物に衝突する危険があります。

とりわけ、下り坂は要注意です。下り坂の四駆は、二駆より制動距離が1.07~1.3倍長くなるというJAFの実験結果もあります。

※ 画像:4WD なら雪道でも安心?2WD と登坂・ブレーキ性能を比較|JAF

四駆特有の車体重量が、制動距離を延ばしていると考えられます。四駆の性能を過信せず、冬の道路ではゆっくり、慎重な運転を心掛けましょう。

スタッドレスタイヤを履かない場合に用意したい雪道装備

わずかでも降雪・凍結の懸念がある地域なら、冬になるまえにスタッドレスタイヤに交換しておくと安心です。

とはいえさまざまな事情から、スタッドレスタイヤを履かない選択をする人も多いかもしれません。

スタッドレスタイヤに交換しないときに、用意しておきたい雪道装備を紹介します。

タイヤチェーン

タイヤチェーンは、次の3種類があります。

  • 金属製
  • 非金属製
  • 布製

現在の主流は、非金属性のタイヤチェーンです。ゴムやウレタンでつくられており、チェーンを装着しても走行時の振動や騒音が少ない点がメリットです。

金属製と比べるとやや高価ですが、乗り心地を重視する人から支持されています。

2018年以降、大雪特別警報が出ている区間の走行などではチェーン装着が必須となりました(チェーン規制)。
チェーン規制がかかると、スタッドレスタイヤを履いていてもチェーンを装着しなければなりません。

冬のお出かけ時は、車にチェーンを載せておくと安心です。

スコップ

大雪で立往生が発生した道路で、ドライバーがスコップで雪をかいている場面を見たことはないでしょうか。

スコップは車周辺の雪をかきわけるときに、役立ちます。万一に備え、スコップを1本、載せておきましょう。

雪が凍ると、プラスチック製のスコップではすぐに破損します。できれば金属製の、頑丈なスコップがおすすめです。

スコップは未舗装路や泥道、ぬかるみでスタックした際にも使えます。

軍手・長靴

冬場、車外での作業は寒さとの戦いです。雪で手や足が濡れると身体全体が冷え、体調を崩す要因にもなります。

冬のお出かけ時は、軍手や長靴も車に常備しましょう。

軍手は防水仕様がおすすめです。通常の軍手を載せる場合は、予備も入れておいてください。

夜間の作業には懐中電灯が重宝します。

四駆(4WD)向けスタッドレスタイヤの選び方

これから四駆のスタッドレスタイヤを購入する人に向けて、タイヤを選ぶポイントを3つ、解説します。

スタッドレスタイヤはメーカー各社、多くの種類を製造しています。愛車にはどのタイヤが合うか迷ったら、タイヤ専門店で相談しましょう。

タイヤの性能・特徴

スタッドレスタイヤの性能は、氷上と雪上の2つに大別できます。

  • 氷上性能:凍結した路面での走行性能
  • 雪上性能:積雪した路面での走行性能

お住まいの地域の環境に合わせて、最適な性能を持つタイヤを選びましょう。

積雪はほとんどないものの、早朝の冷え込みが厳しい地域なら、アイスバーンに強い氷上タイプがおすすめです。

積雪が多く、ときに雪深い路面を走る日もある地域の人には、雪上性能が高いタイヤが向いています。

ゴムの種類

スタッドレスタイヤは、ゴムの種類によっても性能が異なります。

スタッドレスタイヤのゴムには、吸水と撥水の2種類があります。

  • 吸水タイプ:路面の水分を効率良く取り除きながら走行できる
  • 撥水タイプ:路面の水分をはじき飛ばしながら走行できる

吸水タイプのスタッドレスタイヤは、路面とタイヤの密着力が高めです。雪が多い地域でも安定した走行を可能にします。

撥水タイプのスタッドレスタイヤは、タイヤが路面をひっかく力が強い点が特徴です。凍結が多い地域の人におすすめです。

4本セットの価格

四駆のスタッドレスタイヤは、4本同時交換が基本です。常にタイヤ4本が駆動しており、どのタイヤも同程度に摩耗しているためです。

1本だけ交換するとタイヤ全体のバランスが崩れ、走行に支障をきたすおそれがあります。

四駆のスタッドレスタイヤ選びでは、タイヤ4本のセット価格にも注目しましょう。

スタッドレスタイヤのシーズンが始まる前(夏の終わり~10月ごろ)は、多くのショップで早割キャンペーンが実施されます。
お得に購入したい人は、このキャンペーンを狙いましょう。

タイヤの種類を問わず、メーカーごとに固定価格でタイヤを提供するタイヤ専門店の利用もおすすめです。

四駆(4WD)のスタッドレスタイヤはタイヤ流通センターにお任せください

温暖な地域以外なら、四駆でも用意しておきたいスタッドレスタイヤ。ただ、同ランクで比べるとノーマルタイヤより高価なのが、悩みの種ではありませんか。

四駆のスタッドレスタイヤなら「同ランク・均一価格」でご提供する、タイヤ流通センターにお任せください。

タイヤ流通センターは、同じメーカーでもタイヤの種類ごとに価格が異なるという従来のわかりにくさを撤廃しました。

同一メーカーなら、どのタイヤを選んでも均一価格でご提供します。

まずはWebから、タイヤ流通センターの「かんたん30秒見積り」をお試しください。

車種とタイヤサイズを選択するだけで、その場ですぐにお見積りをお出しします。店頭にないタイヤも、専門店ならではの流通ルートでお手配します。

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まとめ

四駆は、たしかに悪路や雪道に強い車です。
しかしどのような路面でも、安全に走行できるわけではありません。

数センチ以上の積雪やアイスバーン、冷え込んだ翌朝などは、四駆でもノーマルタイヤでの走行は危険です。SUVに乗る筆者も、雪が降る前の11月末にはかならず、スタッドレスタイヤに履き替えます。

雪道・凍結路の怖さを知っているからです。

四駆の性能を過信せず、積雪・凍結の懸念がある場合はスタッドレスタイヤに履き替えておきましょう。
そのひと手間が、あなたと家族、乗る人の安心を高めます。

スタッドレスタイヤをできる限りお手頃価格で手に入れたい場合は、タイヤ専門店「タイヤ流通センター」にご相談ください。

車種・地域に最適なスタッドレスタイヤを、プロの目線から選定してご提供します。

 

監修者:こげパン
現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。

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