スタッドレスタイヤとチェーン規制の義務化を完全解説｜大雪に備えるおすすめグッズも紹介

「平年並みか平年より多い雪」と天気予報が言っていたのに、実際は一晩で数十cm積もるような大雪になった…、そんな想定外の積雪のニュースも珍しくなくなりました。

警報級の大雪も増える日本では、冬のドライブにスタッドレスタイヤの準備、チェーン規制への備えが欠かせません。

今回は、義務化されたスタッドレスタイヤ・タイヤチェーン装着について、わかりやすく解説します。スタッドレスタイヤでは走行できない雪もあること、冬のドライブに常備したいグッズもまとめました。

備えあれば憂いなし、です。安心して運転するヒントとして、最後までご覧ください。

▼この記事を読んでわかること
・積雪・凍結路でのスタッドレスタイヤ装着について
・チェーン規制とは何か
・車内に登載しておきたいグッズ
・タイヤ流通センターならお得にタイヤ交換できること

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積雪・凍結路でのスタッドレス装着は「ルール」

「雪が積もった」「冷え込みが続き、路面が凍った」、そんな日の運転前には、装着しているタイヤを確認してください。積雪時・凍結時には、スタッドレスタイヤを装着しなければならないと法令で定められているためです。

スタッドレスタイヤ装着を規定する法令

道路交通法71条6号に基づき、都道府県の公安委員会（沖縄県を除く）は、積雪・凍結時の滑り止めに関して「都道府県道路交通法施行細則又は道路交通規則における積雪、凍結時の防滑措置」という規定を定めています。

どのような措置を講じるべきかは、地域によって異なります。東京都は、以下のとおりです。

『東京都道路交通規則　第8条6号』 “積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路において、自動車又は原動機付自転車を運転する時は、タイヤチェーンを取り付ける等してすべり止めの措置を講ずること。”

つまり、積雪や凍結のためにスリップが想定される場面では、滑り止め措置を講じたタイヤで走行しなければならない、ということです。この「滑り止め措置」は、大半の場合スタッドレスタイヤを指します。

スタッドレスタイヤ装着義務違反の罰則

滑り止め措置の規定に違反すると、罰金が課されます。罰金額は普通車・二輪車6,000円、大型車7,000円、原付車5,000円です。違反点数の加算はありません。

スタッドレスタイヤの装着は運転車が判断する

都道府県の公安委員会が定める滑り止め措置義務では、具体的な基準までは定められていません。「積雪が何センチに達したら」「凍結がどの程度なら」スタッドレスタイヤを装着しなければならない、とは書かれていないのです。

積雪・凍結時はスタッドレスタイヤの装着義務があるものの、その判断は運転者に委ねられています。私たちにできることは、少しでも滑りそうだと感じたら、スタッドレスタイヤを装着すること、です。

なお、次の章で解説するように、近年は局所的な大雪が突然降るケースも増えています。少しでも降雪・凍結が心配される地域にお住まいなら、冬が到来する前にスタッドレスタイヤへの交換をおすすめします。

大雪時に実施される「チェーン規制」

スタッドレスタイヤ装着義務とは別に、チェーン規制という措置が講じられる場合があります。チェーン規制とは、どのような内容でしょうか。スタッドレスタイヤ装着義務との違いも踏まえつつ、詳しく解説します。

チェーン規制とは

※ 画像：チェーン規制Q&A｜国土交通省

チェーン規制は、災害級など異例の積雪が予想される際に、あらかじめ決めた区間でタイヤにチェーン装着を義務付ける規制です。2018年より施行されています。チェーン規制がかかった区間は、チェーンを取り付けたタイヤでなければ走行できません。

また、チェーン規制が解除されるまでは、チェーンを取り付けていない車は走行できなくなります。ただ、規制施行前は通行止めにして除雪作業をしていた区間も、チェーンを取り付けた車は走行できるようになるなど、メリットもあります。

急なチェーン規制への対応

※ 画像：チェーン規制Q&A｜国土交通省

高速道路などを走行中に、突如としてチェーン規制を知らされたら、どう対処すれば良いのでしょうか。実は、チェーン規制が始まる区間の手前には、かならず「チェーン着脱所」が設けられます。運転者は着脱所で、車にチェーンを取り付けられます。

チェーン規制がかかっている間は、車がチェーンを確実に取り付けているか、警察や道路管理者等が目視し確認します。チェーンを装着していなければ、規制対象区間は走行できません。

冬、規制区間を通行する際は、天気予報をチェックしながら、必要に応じてチェーンを登載しておくと安心です。

チェーン規制の対象区間

※ 画像：チェーン規制Q&A｜国土交通省

チェーン規制の対象区間は、深い積雪が危惧される道路です。具体的には、下表をご覧ください。

道路名		区間	距離
高速道路	上信越自動車道	信濃町IC（長野県）～新井PA（新潟県）	25km
	中央自動車道	須玉IC（山梨県）～長坂IC	9km
		飯田山本IC（長野県）～園原IC	10km
	北陸自動車道	丸岡IC（福井県）～加賀IC（石川県）	18km
		木之本IC（滋賀県）～今庄IC（福井県）	45km
	米子自動車道	湯原IC（岡山県）～江府IC（鳥取県）	34km
	浜田自動車道	旭IC（島根県）～大朝IC（広島県）	27km
国道	112号線	山形県西川町志津～鶴岡市上名川	27km
	138号線	山梨県山中湖村平野～静岡県小山町須走字御登口	9km
	7号線	新潟県村上市大須戸～上大鳥	16km
	8号線	福井県あわら市熊坂～笹岡	4km
	54号線	広島県三次市布野町上布野～島根県飯南町上赤名	12km
	56号線	愛媛県西予市宇和町～大洲市松尾	7km

チェーン規制が始まった背景

近年、災害級と称される大雪が増えています。「24 時間の降雪量」が多い日が増え、雪が強く集中的に降る状況も珍しくなくなりました。過去 10 年間で、積雪の深さが観測史上最高を更新する地点も、日本全国で3割以上に達しているといいます。

あわせて、交通事情が雪の影響を受けるケースも、増えています。

2017年の冬、鳥取道や周辺の国道で300台もの車両が立ち往生となったこと、2018年に北陸地方の異例の積雪により、1,500台が立ち往生し、すべて解消するまでに3日以上かかったことなど、記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。

手を打たなければ、同じような事態の再発が予想されます。そこで国は大雪になりやすい地域にチェーン規制を開始し、大雪での立ち往生を回避する策に出たのです。

チェーン規制に違反した場合の罰則

チェーン規制には、違反者への罰則も定められています。

＜チェーン規制の罰則＞

• 対象者：チェーン規制発令時に、指定区間をチェーン未装着で走行した者
• 罰則：6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
• 根拠法：道路交通法（「車両通行止め区間を走行した」とみなされる）

チェーン規制を知る方法

チェーン規制は、天候を見ながら発令されます。国土交通省側は「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるとき」に規制を発令する、とのガイドラインを示しています。

ただ、「対象区間の積雪が何cmに達したら」といった、明確な基準はありません。

私たち運転者も、天気予報を中止し、発令に備えることが大切です。チェーン規制が発令されると、次のような手段で運転者に周知が図られます。

• 移動式の標識を増設する
• 電光掲示板で告知する
• ハイウェイラジオで告知する

ちなみに、チェーン規制が定められる区間には、次の標識が明示されています。

画像：国土交通省

平常時は、この標識があっても、チェーンを取り付けずに走行して構いません。規制が発令されたときのみ、チェーン装着が必要だと考えてください。

チェーン規制はスタッドレスタイヤも対象

チェーン規制は、スタッドレスタイヤにもチェーンの装着を義務付けます。「スタッドレスタイヤは雪道用のタイヤなのだから、チェーンは不要では」と思うかもしれません。

しかし、スタッドレスタイヤが安全に走行できるのは、あくまで一般的な降雪までです。警報が発令されるような豪雪には、スタッドレスタイヤでも対応できないといわれています。

実際、過去に起きた立ち往生では、スタッドレスタイヤを装着していたにもかかわらず、走行できなくなった車両もたくさん見られました。

スタッドレスタイヤの性能を過信せず、チェーン規制時はすみやかにチェーンを装着するようにしましょう。

タイヤチェーンの取り付け方

※ 画像：チェーン規制Q&A｜国土交通省

タイヤのチェーンは、「駆動輪」に装着します。FF車（前輪駆動）の乗用車なら前輪の2本に、FR車（後輪駆動）の乗用車は後輪2本に取り付けてください。

なお、4WD車もチェーン規制の対象になります。4WDは車重が大きく、下り坂での制動距離（ブレーキをかけはじめてから止まるまでの距離）が長くなりやすく、危険なためです。

4WD車は4つのタイヤすべてが駆動しますが、構造の基本となる駆動輪が存在します。多くの4WD車は前輪を軸に駆動するため、タイヤチェーンも前輪に取り付けてください。

4輪すべてにチェーンを取り付けるのは間違いです。車の駆動力バランスが崩れ、適切に走行できなくなるおそれがあります。駆動輪が分からない場合は、取扱説明書を参照しましょう。

豪雪に備えて、車内に登載しておきたいグッズ

「警報級の大雪」「数十年に一度クラスの大雪」と枕詞がついた雪が、毎年のように降る昨今。いつ、どこで雪に見舞われるかわかりません。

万一に備え、冬の車内に搭載しておきたいグッズを紹介します。

チェーン

チェーン規制が発令されたら、速やかにチェーンを取り付けなければ走行できません。冬のお出かけには、念のためタイヤに合ったチェーンを用意しておきましょう。タイヤチェーンは金属製と非金属性があります。

◎ 金属製チェーン

頑丈で安価。取り外すとコンパクトになる。凍結路にも強い。振動や騒音が大きいため、乗り心地を重視する人には不向き。

◎ ゴム製・ウレタン製

振動や騒音が小さく、乗り心地への影響が最小。ドライ路面でも切れにくい。かさばりやすく、収納性には劣る。価格は金属製より高め。

◎ 布製

靴下のように履かせるタイプ。力を入れずに着脱できる。乗り心地も◎。軽量でコンパクトに収納できる。耐久性は、すべてのタイプでもっとも低い。

タイヤ専門店やカー用品店に行くと、さまざまなタイプのチェーンを比較できます。重さや材質は、実際に触ってみないと分かりません。大雪の中、取り付けないといけない場面も想定しながら、自分に合ったチェーンを選んでください。

スコップ

マフラーやタイヤ回りに積もった雪をかき出したいときに便利です。必ずしも、大きなものでなくても構いません。小ぶりなスコップが1つあるだけで安心です。

なお、マフラー周辺が雪で埋まると、車内の一酸化炭素濃度が高まり、中毒を起こす危険性が高まります。マフラー周辺をこまめに除雪し、自分と同乗者の安全を守りましょう。

長靴・軍手

外に出て作業しなければならない場面で活躍します。防水性のブーツやグローブだと、作業効率がアップします。

カイロ

身体を暖めたいときに使います。貼るタイプのカイロは、車外での作業にも便利です。かさばるものではないので、ある程度まとまった量を乗せておくと良いでしょう。

毛布

ガソリンや電気を節約するため、エアコンを切る場面も考えられます。身体を冷えから守るために必須です。

非常食・飲料水

一度立ち往生が発生すると、解消までにはかなりの時間がかかります。体力を維持するために、カロリーの高いもの・甘いものなども用意しましょう。

携帯トイレ

密閉できる携帯トイレも必要です。普段のドライブでの渋滞にも活用できるため、常に車に乗せておいても良いでしょう。

まとめ

積雪や凍結のある路面を走る際は、滑り止め措置を講じなければなりません。スタッドレスタイヤの装着は、私たちができる措置の一例です。

また、警報級の大雪が降ると、指定区間でチェーン規制が発令されます。大雪の予報が出た際は不要不急の外出を控えることはもちろん、やむを得ず走行しなければならない場合は、規制に従ってください。

規制を無視し、スリップやスタックを起こすと、大事故や立ち往生につながる危険性もあります。

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