夏にスタッドレスタイヤで走るのは危険!理由6つと注意点を解説

つい交換を忘れて、夏になってもスタッドレスタイヤのまま走行していたり、隣の車を見たら「スタッドレス?!」と驚いたりしたことはありませんか?
またタイヤの寿命が近く、スタッドレスタイヤを履きつぶすつもりで乗る方も少なくありません。

しかし、冬に性能を発揮するよう作られているスタッドレスタイヤを、夏も履き続けるのは危険がいっぱいです。

この記事では、夏のスタッドレスタイヤが抱える問題点や、どうしてもという場合の注意点などを解説します。

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夏にスタッドレスタイヤを履き続けてしまうのはなぜ?


夏になってもスタッドレスタイヤを履いているのは、何か理由があるのでしょうか?「夏のスタッドレス」、よくある理由を3つ解説します。

交換タイヤが寿命になる

交換タイヤが寿命(溝の擦り減り、硬化など)を迎えており、買い替え時期を先に延ばすために夏もスタッドレスを履き続けるケースがあります。たとえば、次のような場合です。

◎例1、「夏タイヤが寿命」パターン

スタッドレスタイヤから履き替える夏タイヤが寿命で、買い替えが必要
⇒ スタッドレスタイヤを夏も使うことで、夏タイヤの購入を1年先送りできる

◎例2、「スタッドレスタイヤが寿命」パターン

履いているスタッドレスタイヤが寿命で、次の冬には買い替えが必要
⇒ 夏の間にスタッドレスタイヤを履きつぶし、次の冬に新調する
⇒ 夏タイヤに履き替えないため、摩耗を1年先延ばしできる

例1も例2も、夏もスタッドレスタイヤを履き続けることで、タイヤの購入を先延ばしにするのが狙いだと考えられます。

交換を忘れている

単純に、タイヤ交換を忘れているだけというケースもあります。

「春先の天候が不順で、交換するタイミングを見計らっているうちに忘れてしまった」「店舗が空いている日に交換に行こうと思って、そのままにしてしまった」といった理由があるようです。

滅多に雪が降らないエリアに住む方が、ウィンターレジャーのためにスタッドレスに替えたまま交換を忘れてしまうこともあります。

スタッドレスは夏に履いても問題ないと思っている

中には「スタッドレスタイヤを夏にはいても問題ない」と考えて履き続けるユーザーもいます。

「同じタイヤなんだから、スタッドレスで夏の路面を走っても問題ない」と思っているケースもあれば、「溝が深いスタッドレスタイヤのほうが、路面をしっかりつかんでくれそう」と敢えてスタッドレスから履き替えないユーザーもいるようです。

しかし、実はスタッドレスタイヤを夏も履き続けるのは、とても危険!次の章では、夏にスタッドレスタイヤを履くべきではない理由を解説します。

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夏のスタッドレスタイヤがNGな理由


夏にスタッドレスタイヤを履き続けてはいけない理由は、大きく6つあります。

  1. 滑りやすくなる
  2. バーストしやすくなる
  3. ブレーキの利きが悪くなる
  4. ハンドルが取り回しにくくなる
  5. 燃費が悪くなる
  6. 走行ノイズが大きくなる

以上の6つを、それぞれ詳しく解説します。

1. 夏タイヤより雨の路面で滑りやすい

スタッドレスタイヤは雪道や凍結路には強い反面、雨の路面では滑りやすくなります。スリップの危険性が高まるため、夏にスタッドレスタイヤを履くのはNGなのです。

スタッドレスタイヤは、凹凸の大きな雪道や凍結路でのグリップ力を高めるため、夏タイヤより柔らかいゴムでできています。

またスタッドレスタイヤは表面に無数の小さな穴を作ることで、タイヤと氷の間にある水分を穴に吸い込ませ、タイヤと氷とが密着(グリップ)する仕組みになっています。
「ゴムの柔らかさ」と「吸水性の高さ」によって、 雪道や凍結路でも安全に走れるよう作られているのがスタッドレスタイヤです。

ところが夏の雨天時は、「ゴムの柔らかさ」「吸水性の高さ」というスタッドレスタイヤの特徴が弱点になります。夏タイヤは路面の水分を溝から排出し路面をグリップしていますが、スタッドレスタイヤだとタイヤが水分を吸ってしまう上に、ゴムが柔らかいので溝が変形しやすく、溝の排水機能が十分に働かなくなるのです。

結果、タイヤと路面のあいだに水分が溜まって、「ハイドロプレーニング現象」が起きスリップにつながる恐れがあります。

2. 炎天下の熱い路面でバーストしやすい

スタッドレスタイヤは、夏タイヤより柔らかいゴムでできています。柔らかいタイヤで夏の熱い路面を走行すると、タイヤが変形しやすく、タイヤ自身に大きな負担がかかります。
走行中のバーストにつながることもあるため、大変危険です。

高速走行や、タイヤに傷があるといった条件が重なると、さらにバーストの可能性は高まります。

3. 夏タイヤよりブレーキが利きにくい

夏タイヤよりスタッドレスタイヤの方がブレーキが利きにくくなるのも、夏にスタッドレスタイヤがNGな理由です。

「スタッドレスタイヤはグリップ力に優れている」といっても、あくまで雪道や凍結路での話です。雪や氷のない夏の道路では、スタッドレスタイヤの性能は発揮されません。ブレーキをかけ始めてから車が停止するまでをはかった「制動距離」は、乾いた路面ではスタッドレスタイヤの方が長くなるといわれています。

制動距離が長くなると「止まるつもりだった位置で止まれない」ことになり、衝突や事故につながる危険性が高まります。

4. 燃費性能が悪い

柔らかいゴムでできているスタッドレスタイヤは、路面と接する面積も夏タイヤより大きくなります。設置面積が広くなると必然的に路面からタイヤが受ける抵抗も大きくなるため、走行に必要なエネルギーも大きくなります。
結果的に、乾いた路面ではスタッドレスタイヤの方が夏タイヤより燃費性能が良くない、ということになるのです。

実際、スタッドレスタイヤの燃費性能は、夏タイヤの90%程度まで落ちるとも言われています。

5. 走行時のノイズが大きい

スタッドレスタイヤは、夏タイヤに比べて走行時のノイズが大きいといわれています。

タイヤのノイズは、タイヤの溝を空気が通り抜ける際に生まれます。スタッドレスタイヤは夏タイヤよりも細い溝がたくさん掘られているため、音の原因になる空気の通り道が多いのがノイズの原因です。

静音走行を求めるユーザーは特に、ノイズの面からも夏場のスタッドレスタイヤは避けるようにしましょう。

6. タイヤの寿命が短くなりやすい

ゴムが柔らかいスタッドレスタイヤは、夏タイヤより摩耗が速くなります。つまり、夏も使い続けることで、必要以上に寿命を短くしてしまうということです。

これは「ゴムは柔らかい方が擦り減りやすい」という特性によります。消しゴムをイメージすると理解しやすいかもしれません。固い消しゴムより、柔らかい消しゴムの方が早く無くなりますよね。

本来は冬だけ履くはずのスタッドレスタイヤを、夏も履き続けることは、タイヤの寿命をすすんで縮めていることになるのです。

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夏のスタッドレスタイヤ装着は違反?


雪道を夏タイヤで走行すると、道路交通法違反に問われる場合があります。道路交通法第70条で「安全運転の義務」が規定されているからです。
雪道や凍結路など危険が予測される場面では、スタッドレスタイヤを装着するなどの適切な処置をしなければなりません。

(安全運転の義務)

第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

引用:道路交通法

一方、夏にスタッドレスタイヤのまま走行しても違反にはなりません。ただし、先にまとめたように夏のスタッドレスタイヤは、危険や問題点が数多くあります。決しておすすめはできません。「夏は夏タイヤ」が、安全のためにも大切です。

夏のスタッドレスタイヤ走行時の注意点


「どうしても夏もスタッドレスタイヤを履いたままにせざるを得ない」ということもあるかもしれません。ここからは、夏にスタッドレスタイヤで走行する場合に注意すべきポイントについて解説します。

スピードを出し過ぎない

スタッドレスタイヤは、夏タイヤよりブレーキが利きにくくなると書きました。制動距離が延びることを念頭に、スピードを出し過ぎない、急ブレーキをかけない運転が大切です。

特に高速道路やバイパスなど、スピードを出しやすい場面では注意しましょう。高速走行はバーストにつながりやすいという危険性もあります。普段よりスピードを落とし、慎重な運転を心がけましょう。

車間距離を詰め過ぎない

夏のスタッドレスタイヤ走行では、前の車との距離を詰め過ぎないことも大切です。ブレーキの利きが悪くなるため、「あっ!」と思って急ブレーキをかけても間に合わないといったことも考えられます。

普段より車間距離を広くとり、前の車の動きにも注意しながら運転するようにしましょう。

雨の日は運転しない

スタッドレスタイヤは、夏タイヤより排水性能に劣ります。ハイドロプレーニング現象が起きスリップしやすくなるため、できれば雨の日は運転しない方が安心です。
雨天時に運転する場合は、スピードを上げ過ぎない、急ブレーキや急急加速、急ハンドルを避けるといった運転の基本を意識して乗りましょう。

タイヤ点検を怠らない

夏場のスタッドレスタイヤは、思っている以上に早く摩耗します。スリップサインの露出やゴムの硬化など、こまめなチェックを心がけましょう。ご自分では確認するのが難しい方は、店舗で点検してもらうのがおすすめです。

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タイヤ交換がいらない「オールシーズンタイヤ」もおすすめ


タイヤ交換を気にせず使いたい方には、「オールシーズンタイヤ」もおすすめです。オールシーズンタイヤとはどんなタイヤなのか、また注意点を解説します。

オールシーズンタイヤとは

オールシーズンタイヤとは、名前の通り1年中履き替えなしで使い続けられるタイヤのことです。スタッドレスタイヤと夏タイヤの特徴を程よく兼ね備えており、多少の積雪も夏の雨天時も安心して走行できます。

シーズンごとにタイヤを用意しなくて住むため、タイヤの購入や交換・保管にかかる費用を節約できる点もメリットです。

オールシーズンタイヤの注意点

オールシーズンタイヤは、本格的な積雪時は走行できません。雪道や氷上でのグリップ力は、夏タイヤよりは優れていますが、スタッドレスタイヤには及ばないのです。

一般的に、オールシーズンタイヤが走行できるのは、積雪1~2mm程度まで・積もった雪が固まった圧雪路・シャーベット状の路面とされています。雪が多い地域や頻繁に凍結するエリアには、おすすめできません。

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まとめ

夏のスタッドレスタイヤ走行は、危険や問題ばかりで、メリットは1つもありません。面倒でも、春先にはスタッドレスタイヤから夏タイヤにきちんと履き替えましょう。
またスタッドレスタイヤ、夏タイヤを問わず、こまめなタイヤ点検をおすすめします。車のパーツの中で唯一、地面と接するタイヤは、安全走行の土台だからです。空気圧やゴムの状態、またスリップサインが出ていないかも見ておきます。

タイヤの点検を始め、タイヤのことならなんでも専門店である「タイヤ流通センター」にご相談ください。オールシーズンタイヤや地域ごとにおすすめのタイヤもご案内します。

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監修者:こげパン
現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。

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