スタッドレスタイヤの適切な空気圧は?ノーマルタイヤとの違い

スタッドレスタイヤを取り付けた際、適正空気圧に調整できているか確認していますか? スタッドレスタイヤの空気圧低下は、事故を引き起こすきっかけになり得ます。ただし、スタッドレスタイヤにおいては、空気圧が低めのほうが不安定な路面に適しているということも……。

そこで今回は、適切なスタッドレスタイヤの空気圧をはじめ、ノーマルタイヤとの違いや空気圧によって起こりやすいトラブルについてご紹介します。くわえて、空気圧の維持におすすめな窒素ガスのメリットについても解説しているので、これからスタッドレスタイヤの空気圧を調整する方は、ぜひ参考にしてみてください。

適切なスタッドレスタイヤの空気圧は?

車両を購入した際に装着されているのは、基本的にはノーマルタイヤです。そのため、スタッドレスタイヤは後から購入することがほとんどです。性能が全く違うノーマルタイヤとスタッドレスタイヤでは、適切な空気圧も異なるのでしょうか?

ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの空気圧の違い

結論からいうと、ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの空気圧に違いはありません。そのため、スタッドレスタイヤもノーマルタイヤと同じ適正空気圧で調整するよう心がけましょう。

適正空気圧は、運転席側の扉か内側の足元に貼られたシールにタイヤの適正サイズと一緒に記載されています。たとえば「前後輪210kPa」と記載されていた場合は、スタッドレスタイヤの空気圧もノーマルタイヤと同様「210(2.1)kPa」になります。ただし、ノーマルタイヤと同じ適性空気圧に調整するのは、タイヤサイズが「ノーマルタイヤと同じ場合」に限ります。

スタッドレスタイヤの空気圧は天候や路面環境に合わせる

スタッドレスタイヤの空気圧は、天候や路面環境に合わせて変更することをおすすめします。なぜなら、都度空気圧を調整することで、スタッドレスタイヤの性能を余すことなく発揮できるためです。

たとえば、フカフカの雪道を走行する場合は、空気圧を低くしておくことで「雪の中にタイヤが埋もれる」といった万が一のトラブルが起きにくくなります。路面との接地面積が増えることによって、柔らかい雪を掴みやすくなるのです。
その一方で、凍結した硬い路面を走行する場合は空気圧を高くするのがベスト。接地面が少なくなることによって面圧が上がるため、タイヤが滑りにくくなります。つまり、路面が凍結していても「なめらかで安定した走行」が可能になるのです。

スタッドレスタイヤの空気圧は、天候や路面環境に合わせて調整すれば、高くても低くてもある程度の性能を発揮できるように作られています。ただし、決して「空気圧を調整していれば絶対安心」というわけではありません。大前提として、安全運転を心がけることが大切です。

タイヤの空気圧低下の原因と対処方法、空気圧が与える影響とは

タイヤの空気圧低下の原因と対処方法、空気圧が与える影響とは

 

タイヤから空気がなくなったと感じたらすぐに点検が必要!

スタッドレスタイヤの空気圧の調整

スタッドレスタイヤの空気圧が低くなると、タイヤや車両にさまざまな影響が及びます。そのため、タイヤの空気がなくなったと感じたらすぐに点検することが大切です。

タイヤの空気圧が適切ではないときに起きるトラブル

前述したように、雪道などの不安定な路面を走行する場合は、スタッドレスタイヤの空気圧が低くても問題はありません。むしろ、そのほうが安定した走行ができます。しかし、空気圧が低いと車両の重量でタイヤが変形してしまい、さまざまなトラブルが起きやすくなってしまうのです。

たとえば、燃費が悪くなったりハンドル操作が不安定になったりします。また、偏摩耗が起こりやすくなるため、タイヤの寿命が縮まる可能性も高くなります。さらには、変形したタイヤが高速回転して引き起こされる「スタンディングウェーブ現象」によって、タイヤがバーストする危険性もあります。空気圧を調整する際は、適正空気圧を大幅に下回らないように注意しましょう。

ただし、空気圧が高すぎても問題があります。本来のタイヤがもつ柔軟性を失ってしまうためです。タイヤの空気圧が高くなると走行中の衝撃を吸収できず、段差でタイヤが傷ついたりパンクしたりする可能性があります。そのため、最悪の場合は取り付けてすぐにタイヤ交換をしなければならないこともあるのです。また、乗り心地も悪くなります。タイヤのクッション性が失われてしまうため、路面環境によっては振動が車内に伝わりやすくなるのです。

スタッドレスタイヤの空気圧は低すぎても高すぎても危険です。常に適切値を維持できるよう、こまめに調整するようにしましょう。

空気圧を調整する時の注意点

空気圧の調整は「タイヤが冷えているときに行うこと」が重要です。仮にタイヤが温まった状態で行うと、熱膨張によって空気圧が高くなってしまいます。
たとえば、走行前の空気圧が200kPaの場合でも、120kmの高速走行をしたあとに再度計測してみると、空気圧は220kPa〜230kPaまで高くなることがあります。これは、路面との摩擦によってタイヤ内部の温度が上昇したことで起こる現象です。つまり、タイヤが温まっている状態で空気圧を調整すると、タイヤが冷えたときに空気圧が適正値を大幅に下回ってしまう可能性があるのです。こうした事態を避けるためにも、空気圧の調整は「タイヤが冷えている走行前」に行いましょう。

適切な空気圧のチェック頻度

タイヤの空気は「常に減り続けている」ため、空気圧のチェックは月1回の頻度で実施しましょう。

空気に含まれている酸素はゴムの分子よりも小さいため、走行中はもちろん、停まっていても少しずつタイヤから抜けていきます。数値で見てみると、適正空気圧に調整しても1ヶ月で「およそ10kPa」は減少しています。つまり、車両の適正空気圧が200kPaだった場合、1ヶ月後に空気圧をチェックすると、およそ190kPaまで減っているということになります。その状態で数ヶ月も放置していては、タイヤの空気圧が減り続けてしまうことはもちろん、タイヤの劣化も進行してしまいます。そのため、空気圧のチェックは月1の頻度でこまめに行い、適正空気圧をキープするようにしましょう。

こまめなチェックができない場合は、車両に記載された適正空気圧より少し多めに空気圧を充填(じゅうてん)しておましょう。具体的な数値で表すと、適正空気圧より「0〜+20kPa」になるよう充填しておけば、タイヤに悪影響を与えることなくチェックする頻度を延ばすことができます。

スタッドレスタイヤの空気圧を維持するには窒素ガスがおすすめ

スタッドレスタイヤの適正空気圧

タイヤの空気圧を維持できるとして注目されはじめた「窒素ガス」。スタッドレスタイヤの空気にもまた、窒素ガスを充填するのがおすすめです。

窒素ガスを使うメリット

スタッドレスタイヤに窒素ガスを充填するメリットは、なんといっても「タイヤの空気圧が下がりにくい」ということです。空気圧を調整するために普段充填している空気は、約80%が窒素、残りの20%は酸素です。前述のように、酸素はゴムの分子よりも小さくタイヤをすり抜けるため、空気を充填すると時間の経過とともに空気圧が徐々に減ってしまいます。その点、窒素はゴムの分子よりも大きいため、窒素100%のタイヤは空気圧が下がりにくいのです。

このほか「タイヤとホイールの劣化を防ぐ」というメリットもあります。タイヤ・ホイールが劣化する原因のひとつは「酸化」です。窒素ガスを充填すればタイヤ内に酸素が入り込まなくなるため、タイヤを長持ちさせられるうえに、ホイールをはじめとする金属のサビ・腐食も防ぐことができます。

スタッドレスタイヤこそ適切な空気圧を保つことが大事

スタッドレスタイヤはノーマルタイヤと同様、車両に記載された適正空気圧に調整することが大切です。空気圧を頻繁に調整できないという場合は、窒素ガスの充填を検討してみてください。コストはかかるものの、空気圧のチェック頻度やタイヤの劣化を防ぐことができます。

窒素ガスを充填するなら、全国で150店舗以上を展開している「タイヤ流通センター」にお任せください。(窒素充填を取り扱う店舗はホームページでご確認ください)専門的な知識を有したスタッフが丁寧にサポートします。このほか、タイヤ交換も承っているため、窒素の充填と合わせて対応することも可能です。
スタッドレスタイヤの交換を検討されている方は、ぜひこの機会にお問い合わせください。

 

監修者:こげパン
現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。

icon