「前輪だけスタッドレスタイヤに交換」はNG!その理由と注意点を詳しく解説

日本車は、前輪だけが駆動する「FF」式が主流です。駆動するのが前輪だけなら、スタッドレスタイヤも前輪だけ装着すれば十分では?と、考えたくなるかもしれません。スタッドレスタイヤが前輪だけの装着で済めば、タイヤの購入・交換費用が半分で済み、お財布にも優しい選択になります。
では、スタッドレスタイヤを前輪だけに履かせるのは、本当にアリでしょうか。それとも、避けるべきでしょうか。
今回は気になる「スタッドレスタイヤを前輪だけ」問題を、解明します。
▼この記事を最後まで読むとわかること
・「FF車の前輪だけスタッドレスタイヤ」が良いのか
・タイヤチェーンの場合は前輪だけで良いのか
・スタッドレスタイヤ装着時の注意点
・タイヤ流通センターならお得にスタッドレスタイヤ交換ができること
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目次
「FF車の前輪だけスタッドレスタイヤ」はNG!

先に、結論をはっきりと述べましょう。FF車で前輪だけスタッドレスタイヤに交換するのは、避けるべきです。理由は、3つあります。
ちなみに、同じ理由で「FR(後輪駆動)車の後輪だけにスタッドレスタイヤ」もNGです。
理由1. スリップしやすくなる
スタッドレスタイヤを装着した前輪は、積雪や凍結があっても路面をグリップし、車を前に進めようとします。曲がる際も、前輪が軸となって車体を旋回させます。
ただ、スタッドレスタイヤを履いていない後輪は、車体が旋回する際に発生する遠心力に耐えきれず、滑ってしまいます。いわゆる「車体のお尻が振れる」状態です。
山道を走行していた場合、スリップした勢いでがけ下に落下するリスクもゼロではありません。
なお、FR車で後輪だけにスタッドレスタイヤを装着すると、FFとは反対に前輪がスリップします。カーブを曲がり切れず、操作不能になる危険も考えられます。
理由2. 下り坂で止まれなくなる
前輪だけにスタッドレスタイヤを装着した車は、4輪すべてがスタッドレスタイヤの車と比べて、制動距離が延びます。
前輪だけがスタッドレスタイヤの車は、前輪だけで路面をグリップし、静止しなければならないためです。滑る後輪から伝わる前進のエネルギーを前輪だけで受け止めきれなければ、追突事故につながることもあります。
また、ブレーキの際にバランスを崩し、事故を引き起こす可能性もあります。
理由3. 法令違反になるおそれがある
沖縄県を除く46の都道府県では、冬季は車に適切な「防滑措置」を施さなければならないと定められています(道路交通法第71条第6号)。「防滑措置」とは、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンの装着を意味します。
本来、4本すべてがスタッドレスタイヤでなければならないところ、前輪のみ(後輪のみ)しか交換していなければ、防滑措置違反とみなされるおそれがあります。防滑措置違反の罰則は、以下の通りです。
| 違反点数 | なし | |
|---|---|---|
| 反則金 | 普通車 | 6,000円 |
| 大型車 | 7,000円 | |
※ 2025年11月時点
タイヤチェーンは「前輪だけ」装着でOK

スタッドレスタイヤは、4輪すべての装着が原則です。ただ、タイヤチェーンは、前輪のみ(後輪のみ)への装着も認められています。FF車なら、前輪だけにタイヤチェーンを巻いていても、違反ではありません。
タイヤチェーンはスタッドレスタイヤよりも走破性が高く、積雪路や圧雪路、アイスバーンにも強いというのが理由です。
ただ、タイヤチェーンが必要となる路面状態は、夏タイヤではまず走行できません。「タイヤチェーンを前輪に巻けば、後輪は夏タイヤのままで良い」とは考えず、タイヤ4本をスタッドレスタイヤに交換した上で、さらなる走行安全性の向上のためにタイヤチェーンを活用するようにしてください。
スタッドレスタイヤ装着時の注意点

スタッドレスタイヤに交換する際の注意点をまとめました。一つひとつを確実に実施し、冬の路面でも安全に走れるよう準備しましょう。
4本すべてをスタッドレスタイヤに交換する
繰り返しになりますが、スタッドレスタイヤは「4本すべて」の交換が必要です。駆動輪だけをスタッドレスタイヤに交換しても、十分な安定性は得られません。
すべての車輪が駆動する4WDはもちろん、FF・FRとも4本セットでの交換を心がけてください。
ブランドやタイヤ種類をそろえる
スタッドレスタイヤと一括りにいっても、メーカーやブランド、注力している性能はさまざまです。それぞれにゴムの素材や性質、トレッド面へのサイプ(細かな溝)の入り方も異なります。
1つの車に別の種類のタイヤを装着すると、走行が安定せず、バランスを崩すおそれがあります。スタッドレスタイヤは4本を同種でそろえるようにしてください。
残溝は「新品から摩耗が50%未満」
スタッドレスタイヤは、溝の深さが「新品時から50%摩耗」すると、寿命と判断されます。この寿命を示すサインはプラットホームと呼ばれ、溝のすき間数か所に作られています。
サイドウォール(側面)にある矢印マークを、トレッド面にたどった先にあるので、見てみてください。
プラットホームが露出したスタッドレスタイヤは、冬用タイヤとしては利用できません。かならずチェックし、十分な残溝があることを確認してから、交換します。
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まとめ
スタッドレスタイヤは前輪だけ、あるいは後輪だけの交換は推奨されていません。走行の安定性が低下し、スリップにつながる危険があります。
ただ、タイヤチェーンは駆動輪のみの装着が認められています。スタッドレスタイヤとタイヤチェーンの違いを正しく把握しておきましょう。
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現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。