【2024年度】スタッドレスタイヤのインチダウンのメリット・デメリットとは?乗り心地や燃費への影響
スタッドスタイヤへの交換を検討する際、リムを小さくする「インチダウン」をする人が多くいらっしゃいます。インチダウンはやみくもに小さくすれば良い、という訳じゃありません。例えば、タイヤの外径が変わらないこと、ホイールサイズが適用内であること、ロードインデックス(LI)が下がらないことなどいくつか注意があります。
この記事では、スタッドレスの購入時にはよくありがちな「インチダウン」についてメリット、デメリット加え、乗り心地や燃費への影響まで詳しく説明します。
▼この記事でわかること
・タイヤのサイズ表記
・スタッドレスタイヤをインチダウンするメリット・デメリット
・スタッドレスタイヤをインチダウンする際の注意点
・タイヤ流通センターならお得にスタッドレスタイヤ交換ができること
目次
タイヤのサイズ表記のおさらい
スタッドレスタイヤのインチダウンについてお話する前に、まずは、タイヤサイズの見方を覚えておく必要があります。タイヤサイズとは、タイヤ側面のサイドウォール部に刻印されている、次のようなISOで定められたタイヤの情報のことを指します。
195/65 R 15 91 H
●195…タイヤ幅(mm)
●65…扁平率(%)
●R…ラジアル構造
●15…リム径(インチ)
●91…ロードインデックス
●H…速度記号
「タイヤ幅」がタイヤの断面幅を指すのに対し、「扁平率」はその断面幅に対する断面高さの割合を示します。扁平率が低いと平べったいタイヤとなります。また、「リム径」とはタイヤに装着しているホイールサイズ、「ロードインデックス(LI)」は、タイヤが支えることができる負荷の大きさで、「速度記号(スピードレンジ)」が表す走行可能な最高速度とともに、タイヤの能力を表します。
どれも馴染みがない専門用語ばかりでよくわからないことも多いかと思います。しかし、タイヤ選びの際はこういった表記を元に選ぶ必要があるため覚えておく必要があります。
スタッドレスタイヤのインチダウンを行うメリット
先程、タイヤの表記についてお伝えしましたが、インチダウンはタイヤの外径(外側の大きさ)を変えず、ホイールサイズを小さくすることを言います。では、なぜなぜスタッドレスタイヤのインチダウンを行う必要があるのでしょうか。
スタッドレスタイヤを購入する際、純正タイヤサイズを選ぶことが基本ではありますが、特定の効果を得るために、あえて違うタイヤサイズを選ぶ場合があります。具体的にどんな効果があるのか、まずはインチダウンのメリットについてみていきましょう。
メリット1.衝撃が抑えられるため乗り心地が良い
一般的に、扁平率が高いタイヤほどクッション性が高いため、快適性能が上がる傾向にあります。インチダウンによって扁平率がアップすると、衝撃が吸収され柔らかい乗り心地になります。段差を乗り上げた時などに特にその違いを感じることができます。
また、冬の雪道で路肩の硬い雪や氷に乗り上げた際、ホイール・タイヤへのダメージも少なくなります。
メリット2.純正サイズのタイヤより価格を抑えることができる
タイヤのサイズ(インチ)が小さくなるとタイヤの価格は安くなります。スタッドレスタイヤをインチダウンする人のほとんどがこのメリットを享受するためだと言っても過言ではありません。
低扁平のスタッドレスタイヤは生産コストがかかる上、需要が少ないため、価格が割高になってしまいます。そのため、できるだけ安いスタッドレスを買うためには、インチダウンが効果的です。
メリット3.接地圧が上がり滑りにくくなる
タイヤをインチダウンするとタイヤの幅が小さくなり、車の重さが一点に集中します。そのため、雪面への接地圧が上がりより滑りにくくなるというメリットがあります。
メリット4. ハンドルが取られにくくなる
道路上に固く踏みしめられた轍がある場合、太いタイヤだと轍からはみ出してうまく走れないことがあります。その場合、インチダウンして幅が小さいタイヤのほうが有利に走れるといえます。
また、扁平率の高いインチダウンしたタイヤだと硬い轍の上のデコボコしている路面でも走りやすくなります。
スタッドレスタイヤのインチダウンを行うデメリット
ここまで、インチダウンのメリットについて見てきました。ここからは、インチダウンをすることによって起こるデメリットについて見ていきましょう。
デメリット1.見た目がかっこ悪くなる
インチダウンをするとリムの存在感が小さくなるため、ややスタイリッシュ感に欠けた印象になってしまいます。見た目にこだわりたい方には不満に感じる可能性があります。
デメリット2.操縦安定性が低下する
扁平率が高くなるとタイヤがたわみやすくなるため、走りが不安定になってふらつきが起こりやすくなります。また、たわみが大きくなるほど、コーナリングの際やブレーキをかけた際の安定性が低くなります。
デメリット3.接地面積が減る
タイヤの接地面積が減ると接地圧が上がるのはメリットでもお伝え通りですが、面積が減ることによるデメリットもあります。アイスバーンなどではグリップできる面積を大きくしたほうがよく効くといえます。氷の上を走ることが多いのであれば過度なインチダウンはしないほうが良いです。
スタッドレスタイヤのインチダウン時の注意点
スタッドレスタイヤのインチダウンは、ただサイズが小さくなれば何でも良いというわけではありません。いくつかの注意点がありますので覚えておくようにしましょう。
タイヤの外径は変わらない
タイヤの外径が大きく変わると、車体にタイヤが干渉してしまったり、スピードメーターに狂いが生じます。また、車検が通らないこともありますので注意が必要です。あらかじめ、購入するタイヤの外径が純正タイヤのサイズに近いかどうかを、メーカーのサイトやお店で確認しておきましょう。
ロードインデックスが下がらないか
タイヤにはロードインデックスという、耐えられる荷重の制限があります。インチダウンをすることで、タイヤが支えられる重さを示すロードインデックスが下がってしまうと、空気圧不足や過荷重によって、たわみやセパレーションが起こりやすくなります。最悪の場合、バーストにつながることため注意が必要です。
また、車によって必要なロードインデックスが定められており、これを下回るものは車検の時に通らないことがあります。基本的には純正タイヤのロードインデックスより大きい物を装着すれば問題ありません。
タイヤが車体や部品に接触しない
基本的にタイヤのインチダウンでは、純正のタイヤサイズよりもタイヤ幅が広くなるようなことはありません。一方、大きく外径誤差が生じて車体に接触したり、ホイールサイズが変わったことでブレーキキャリパーを干渉したりする可能性があります。
また、整備不良車両として運転を禁止される恐れがあるだけでなく、走行にも影響を与えるリスクがあるため十分注意しましょう
まとめ
いかがでしたでしょうか。スタッドレスを購入する際、可能ならば純正装着しているタイヤと同じサイズを選ぶことが望ましいです。一方、「低予算に抑えたい」「純正サイズのスタッドレスが見つからない」など、やむを得ない事情でインチダウンを行う方もいることでしょう。
インチダウンのデメリットで述べたとおり、ブレーキ性能やコーナリング性能が低下することから、アイスバーンや積雪路面で高い走行性能を求める場合は、インチダウンはおすすめできません。
インチダウンの目的が明確で冬道の走行において安全性に問題がないということを確認の上、ショップに相談する、メーカーのタイヤサイズ対応表を利用するなどして、正しい方法でインチダウンを行いましょう。
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現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。